MCIPが展開する事業は幅広い。展開国はタイ、インドネシア、中国、台湾、韓国、ベトナム、マレーシア、フィリピンといったアジアの国々。各国に芸人を住まわせて人気をゼロから掘り起こす「住みますアジア芸人」、現地テレビ局と組んだ番組制作や、現地若者たちで結成したアイドルのプロデュース……。最近では台湾の日本コンテンツ発信拠点「華山Laugh&Peace Factory」が話題だ。事業のターゲットは全て現地の人々。言語も文化も違う人々の心をどのように掴むのか。
- 横手
- 現地に根付いた形にするのが非常に大事だと実感しています。確かにアジアには日本や日本のポップカルチャーを好きな人は沢山いて、日本で人気の芸人を連れて行ければ喜んでくれる。でも、それは実はニッチな世界で、本当に根付くというのは、そうではない人も含めた一般大衆をターゲットにすること。日本のものをそのまま持っていくだけでは到底うまくいきません。現地の目線で、現地でコンテンツを生み出さなければいけないと強く感じます。
- ウイム
- タイ人がどれだけ日本を好きかというと、そうでもない人は沢山います。それは年代によっても、環境によっても全然違います。一方で、仮面ライダーやウルトラマンなどのアニメや日本食など、誰もが知っている強いコンテンツがある。各国の人々が興味を持つものをどうローカライズしてマーケットを掘り起こすかが大事です。
- 横手
- どのコンテンツが現地で人気になるかならないかは、やってみて初めて分かるところがあります。それは事前にリサーチしても分からない。その意味で、台湾の「華山Laugh&Peace Factory」のように365日、常にコンテンツを発信できる場を作ったというのは大きいですね。場があることで、そこでコンテンツが育つ、人気者が生まれる、というのはあると思いますので、それを海外でもやっていきたいと考えています。
- 清水
- MCIPの中核を為す吉本興業はイベントや劇場を作ったり、映画祭を開催したりと、国内では強力なネットワークを武器に発信の場を作っています。同じことをアジアでできるようにするのはとても大事。そのためには、良いパートナーを見つけるなど、現地のマーケットへの入り方が肝心です。昨年、MCIPがタイで音楽イベントを催したときも、現地の著名音楽プロデューサーなどをチームに取り込んでいきました。彼らの先には現地でのネットワークがあります。今後、コンテンツ制作を広げていく上でも、色々な機能での現地ネットワークの構築と活用が重要だと思っています。
- 横手
- 現地の誰と一緒にやるかというのは本当に大事ですね。例えばタイのマーケットを分析するよりも、タイ人であり、かつ日本のこともよく知っているウイムが現地にいるということが強みになる。そういうパートナーをどれだけ各国で見つけられるかはこのプロジェクトの鍵になってくると思います。