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「チームWA」の掛け声で、心をひとつに「和」を届ける

ISETAN The Japan Store Kuala Lumpur

PROLOGUE

2016年10月、クアラルンプール中心部に、全館でクールジャパンを体現する百貨店「ISETAN The Japan Store Kuala Lumpur(以下、The Japan Store)」が誕生した。食・ファッション・化粧品・雑貨・インテリア・ライフスタイルなどの幅広いジャンルで、日本が世界に誇る伝統と技術、美意識を実感できる商品・サービスを提供し“本物の日本”を提案している。クールジャパン機構とともに、この海外初となる新しい百貨店の形を示すのは三越伊勢丹ホールディングスだ。今回「The Japan Store」の店長として奔走する古家氏と、日本流のサービスを実践するために結成された「チームなでしこ」のメンバーに話を聞くことができた。

(※掲載されている情報は取材時点(2017年7月)。敬称略)


PROFILE

ISETAN The Japan Store Kuala Lumpur
店長
古家 麻弥Maya Furuie

北海道大学卒業後、株式会社 伊勢丹(現:株式会社 三越伊勢丹)入社。
伊勢丹新宿店の婦人服担当でのキャリアを中心にしながら、シンガポールなど海外拠点勤務も経験。
2016年10月に開業したIsetan The Japan Storeにて初代店長を務める(現職)。

「チームなでしこ」水谷優希、岡部恵

chapter1 “this is japan.”、日本を伝える百貨店の新しい形
「The Japan Store」は、1990年に三越伊勢丹ホールディングスがクアラルンプールに初出店した際の店舗を全面改装し、広さ約1万1,000平方メートルの地下1階から地上5階に“クールジャパン”をコンセプトとする売り場やレストランを展開している。同社は2011年から“JAPAN SENSES”として日本各地の優れた伝統技術をクリエーションと掛け合わせて紹介し、2015年から“this is japan.”を企業メッセージとして国内外に発信している。「The Japan Store」はそうしたバックグラウンドの中で誕生した。
Q.
オープンから約8ヵ月が経ちましたが、現地の反応はいかがですか。
古家
多くのお客様が「日本にいるみたい。」とおっしゃって下さいます。もともと本物の日本をお届けしようというコンセプトですから、そう言っていただけるのは本当に嬉しいです。現地の百貨店とは一線を画す店になっていると思います。一方では、醤油だけでも20種類程もあり、店としての面白さはありますが、日本人から見てもやや“通好み”過ぎるような部分もあるので、より多くのお客様に気軽に楽しんで頂けるよう、価格面も含めてバランスを取りながら調整を始めています。

お客様の関心は、やはり“食”が強いです。フロア全体に占める食分野の割合は4割弱ですが、売上は全体の5割を超えます。いわゆる「デパ地下」のLGF(地下1階)では食品を売るだけではなく、実際に食べていただくイートインが大きいのが特徴です。マレーシアは外食文化のため、買った商品をその場で食べたり飲んだりされる方が多いですね。日本酒も売れていますが、同じフロアで購入した食品と一緒に試してみるといった、ちょっとした居酒屋の気分も楽しめるようになっています。
Q.
日本の地域産品を紹介する取組もされていますね。人気の高いものは何ですか。
古家
地方の地酒や、タオルなどの名産品、さらにマットレス、カスタマイズできる枕など日本の技術が活かされたアイテムは良く売れています。お客様に価値を分かりやすく伝えられるもの、お客様にとって“買う理由”が明確になっているものは人気が出る可能性が高いと思っています。今後、さらにお客様の目線でリサーチをかけていけば、様々なものに売れるチャンスがあると思っています。日本国内でも同様ですが、海外ではそれをより顕著に感じます。

一例を挙げると、当店で日本酒を知り、気に入って色々購入するうちに日本酒の理解を深められたお客様が、別のフロアで「能作」(注1)の酒器を買ってきて下さって、それで日本酒を飲まれるということがありました。「能作の酒器で日本酒を飲むと美味しいと言われたので買ってみたら、確かに美味しい!」と仰っていました。私もそう思います(笑)

注1)能作:富山県高岡市で1916年に創業した鋳物メーカー。錫(すず)を用いて
仏具、茶道具、テーブルウェアなどを開発し、海外にも進出している。

Discover japan paris PLAY
Discover japan parisの外観

日本酒を試飲できる「SHUSEKI」

Maison WAの外観

「Find Japan」で日本の地域産品を紹介


chapter2 日本のモノを売るだけではない、日本文化に触れる場所
食品を売る地下1階をはじめ、伝統と最先端テクノロジーなどで日本の多様性を表現した地上1階、日本のファッションカルチャーを提案する2階、日本の暮らしを示した3階、日本文化をワークショップで体験できる4階、日本食レストランフロアの5階、全ての階を通して商品・接客サービスに徹底的な日本流を貫いている。そこは日本の商品をただ売るだけではない、圧倒的なオリジナリティに溢れた空間となっている。
Q.
書道や華道といった日本文化を、ワークショップで体験できるのは特徴的ですね。
古家
まったく新しい試みですが、じわじわ人気が広がり始めていて、一度来て頂いた方にはリピーターになって頂くことが多いです。この3Fにはアートを売るコーナーもあり、先日、金魚モチーフのアート作品を販売したところ話題になって予想以上の売れ行きでした。ワークショップにおいても、何か持ち帰れるモノがあるとさらにいいのかな、と思っています。

今一番人気のフロアは日本食を体験できる4Fのレストランフロアですね。特に東京をテーマに洋食を楽しめる「THE TOKYO RESTAURANT」は、トリップアドバイザー(注2)でトップ10に入り、休日には行列がでるほどの人気です。食に非常に関心の高い地域なので、このフロアは当店にお客様を呼ぶエンジンとして非常に有効だと考えています。先日、とある王族のファミリーが、まず最上階のレストランフロアでお食事をされた後、上階から順に、寝具・パジャマ→コム・デ・ギャルソンのTシャツ→茶そばとドレッシング、と各階で商品をお買い上げ下さいました。こうしたことがもっと増えるようにしていきたいです。

注2)トリップアドバイザー:ホテルやレストラン等、旅行に関する口コミ・
価格比較を中心とするウェブサイト

東京をテーマに洋食を楽しめる「THE TOKYO RESTAURANT」

Q.
様々な研修や資格取得を通じて接客サービスを学んだ社員による「チームなでしこ」が活躍していますね。
水谷
「チームなでしこ」は日本ならではの接客サービスを現地で採用したスタイリスト(販売員)たちに教える立場にいます。笑顔、挨拶、丁寧をモットーに日本と同じ接客を目指しています。マレーシアでは一般的に店員はあまり挨拶をしない傾向があるので、お客様からは当店は「いつも笑顔で、フレンドリーでいいわね。」とおっしゃって頂けます。
岡部
嬉しいことにリピーターのお客様の中には、スタイリストがお顔も連絡先も存じ上げて、お好みにあった商品をすぐにご案内するといった関係性を築けている方もいます。お客様から次のお客様に評判が伝わり、新しいお客様になって頂くということが徐々に広がっていて、私どものサービスに満足して頂いているのかなと嬉しく思います。

chapter3 「和」で生きよう、「輪」になって働こう
「The Japan Store」のスタイリストたちはお客様と商品、そしてマレーシアと日本の架け橋となる。文化の違いを乗り越えて、互いに違いを楽しみ共感し合うひとつの形がここにある。日本の百貨店の歴史の中でも他に例を見ないこの新しい店舗は、今後私たちにどのような姿を見せてくれるのだろうか。
Q.
今後「The Japan Store」をどのようにしていきたいですか。
水谷
スタイリストには基本的に日本語の挨拶やお辞儀にも挑戦してもらっていますが、最初はぎこちなかったのが今では驚くほど上手にできるようになりました。まだまだ向上できると思います。日本の店舗と同じように、もっと笑顔、挨拶、細やかな接客ができるようになり、まるで「日本のサービスだね。」と言われるのが目標です。
古家
元々スタイリストの採用時には、現地で「日本を伝える全く新しい店を作りたい人、この指とまれ。」という形でワークショップやセミナーを開き、日本文化に興味、関心、愛情のある方を主眼に採用したので、日本が好きな人が集まっています。そのせいか離職率も他店に比べて低く、一度辞めたスタイリストがまた帰ってきてくれるなど、当店への愛着を持っていてくれていると感じます。

私がいつも感動するのは、毎朝フロアのあちこちでスタイリストたちが「チームWA」を三唱していることです。これは開業前の準備の段階から始まっている習慣で、日本文化の「和」のみならず、チームワークやハーモニーを大切に「和」の素晴らしさをお伝えしていこう、「輪」になって働こう、という思いが込められています。毎朝、皆でそれを確認し合って、「The Japan Store」をひとつの大きなファミリーだと思う気持ちを醸成しているのです。私もその思いに応えるべく、彼らのモチベーションをより向上させる環境にして、それがお客様へのより良いサービス提供に繋がり、さらにリピーターのお客様が増えるという好循環を作っていきたいと思います。

※ISETAN The Japan Storeホームページ(英語)はこちら

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